Ximera Media Next Trends #69|Ikuo Morisugi| 2025.01.30

Photo by Kayle Kaupanger on Unsplash

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はじめに:拡大するクリエイターエコノミーの課題

クリエイターエコノミーの市場規模は年々大きくなっており、今後も市場成長が続くことが予測されています。今まで以上に多くの人々がクリエイターとして独自のコンテンツを発信することで生計を立てるようになっています。クリエイターの収益モデルは、広告収益やブランドとのタイアップ、ファンからの直接支援(投げ銭やサブスクリプション)など多岐にわたります。しかし、こうした収益モデルには未だに課題が存在し、外部環境の変化、限られた案件数、契約や履行プロセスの煩雑さなどがクリエイターにとって活動継続の壁となっています。

[クリエイターエコノミーの市場は今後も大きな成長が予測されている Image: Market.us](https://lh7-rt.googleusercontent.com/docsz/AD_4nXe7GjqsnQn0u3Sq2PNbRpmELDrUC_-ezrygbbzN3y1gZmwSsbYgxXxR5N5CzmRZmF-uW9rNA0lhn-J7jqHYPdbBdz9qyh5qA85h1dSH7803ZAirmx34bG4TtCy70QP8EknnECVJtA?key=EQMcXVKo5vCh0Z0h_O44PskR)

クリエイターエコノミーの市場は今後も大きな成長が予測されている Image: Market.us

たとえば、配信プラットフォームは、頻繁にアルゴリズム変更や広告単価を変動させるため、収益が予測しにくくなるケースも多く、広告収益だけに依存するモデルでは持続的な成長が難しくなっています。また、継続的にブランドとのタイアップ案件を獲得することも簡単ではありません。大手のエージェンシーに所属していなければ、クリエイター自身が営業を行う必要があり、クリエイティブな活動に専念することが難しくなるというジレンマも存在します。さらに、ブランド側との契約交渉や管理業務は煩雑であり、適切なサポートがなければクリエイターが本来の活動に集中できなくなるリスクもあります。

クリエイターが安定して収益を確保するためには、広告収益に依存しない新たなマネタイズの手段が必要とされています。とくに、ブランドとの直接的な取引の機会を増やすことや、D2Cモデルの活用によって収益の多様化を図ることが重要となっています。

このような状況のなかで、独自のアプローチでクリエイターのマネタイズを支援するスタートアップが現れています。本稿では新たなクリエイターのマネタイズのトレンド事例を取り上げ、メディア/コマースの次の動きを考えていく材料となれば幸いです。

プログラマティック型YouTube案件動画マッチング: Agentio

[Image: Agentio](https://lh7-rt.googleusercontent.com/docsz/AD_4nXeBkILr5ulVdIQAknvMHTNpXeMjikvOn46x4R97qyrsNrdeXz9mHr9MLDcE_stLgk0wByCJMYdgl9uUC_FsU4lIKdjuyPFFrgY0OvalyUK4aH5kCZ7jRIQZIPeX2XGmXamppIp4?key=EQMcXVKo5vCh0Z0h_O44PskR)

Image: Agentio

AgentioはYouTubeクリエイター向けにブランドパートナーシップ(案件動画)をプログラマティック広告のようにマッチングできるプラットフォームを提供し、マネタイズの選択肢を増やすことを目指しています。従来、YouTubeクリエイターは主に代理店経由や直接コンタクトのあった広告主から動画案件を得ていましたが、クリエイターも広告主も適切なパートナーを見つけられているとは言い難い状況になっています。その結果、あまり質の高くない案件動画が制作されたり、クリエイターが安定した収益を確保するのが難しくなっていました。

これに対してAgentioはクリエイターと広告主を直接マッチングする広告プラットフォームを提供し、AIを活用した案件のマッチングを可能にしています。クリエイターは自身のコンテンツにもっとも適した企業案件を選択し、視聴者に対して違和感のない形で企業の宣伝を組み込むことができます。広告主にとっても、従来のプラットフォーム広告とは異なり、ターゲット視聴者により適切な形でブランドメッセージを届けることができます。Agentioは広告の入札プロセスを自動化するとともに、LLM を使用してクリエイターのデータとコンテンツ、およびキャンペーン概要、ブランド ボイス、ガイドライン、以前のクリエイター パートナーからの過去のパフォーマンス データなどの広告主データを分析しています。それにより、クリエイターと広告主のマッチング精度を上げています。人脈や労働力に頼っていた案件動画マッチング業界をITとLLMによりマッチングが自動化されたマーケットプレイスに変革させたのがAgentioの大きな価値となっています。

Agentioの収益源は広告主からの出稿金額に対する手数料(20%)となっており、出稿金額の80%はクリエイター側が取得できるモデルとなっています。

2024年11月時点でAgentioのマーケットプレイスは招待制ながらも約50のブランド(DoorDash、Mint Mobile、MasterClass、Notion、HelloFreshなど)との提携と1,000人以上のクリエイター(Nick DiGiovanni、Matty Matheson、Rhett & Link、Chad Chadなど)が参加しており、2024年3Qから4QにかけてブランドからAgentioのマーケットプレイスへの出稿費用が2.35倍に増えるなど着々と実績を積み上げています。

Agentioは2024年11月にシリーズAラウンドで1,200万ドル(約18.5億円)の資金調達を実施しました。リードインベスターはBenchmarkであり、Agentioはこの資金をクリエイターやブランドとのネットワーク拡大、新たな広告組織や人員拡大に充てると考えられます。Agentioは、YouTube広告市場における独自のポジションを確立し、従来の広告プラットフォームとは異なる新たなアプローチを提供しています。

ブランドの商品をクリエイターショップで販売: ShopMy

[Image: ShopMy](https://lh7-rt.googleusercontent.com/docsz/AD_4nXcQsCav6qtQMBzQIXpIGw4pGj1235IWbDCABSG2zRWGQBSzPK8rtQkZjtn4_A_JnDEp-0Sf8JmpGt0f86ngT8y-1sHrH9HMJhJBfAZqIjcqy56PCsGaL8sNfEtsCL3XnClcw3Jvgw?key=EQMcXVKo5vCh0Z0h_O44PskR)

Image: ShopMy

ShopMyはクリエイターがブランドとのコラボレーションを容易に行えるようにすることを目的としたプラットフォームです。従来、クリエイターがブランド案件を獲得するためには、自ら営業活動を行い、契約を交渉し、販売戦略を構築する必要がありました。しかし、このプロセスは時間と労力を要し、個人で活動するクリエイターにとっては負担が大きいものでした。

ShopMyは、1. クリエイターのお気に入りブランドの商品をセレクトしたオンラインストア開設、2. ブランドの商品のアフィリエイト販売による収益獲得、3. ブランドとのダイレクトスポンサーシップを獲得、の3つを可能にするプラットフォームを提供しています。クリエイターは、自身が気に入っているおすすめブランドの商品をまとめたストアを作成し、SNSで簡単に共有することができます。ShopMyはハイブランドも含め4万7000以上のブランドと提携しており、数百万の製品カタログからクリエイターが信頼性の高い商品のみを選択して紹介できる環境を提供しています。